
赤ちゃんや子どもの病気は上気道炎・胃腸炎など軽いものが多いので、一見誰でも診療できそうに見えます。しかし、小児は自分で症状を訴えませんし、またほとんど症状がなくても抵抗力の未熟さから重症化することもありうるため、実際は非常に難しい診療科であります。
新生児科・小児科医の役割は数多くの軽症患者の中から、できるだけ早めに重症例を見つけ出すことにあると思います。そして病気に対して先手先手で手を打ち、悪化しないように対処し、治してしまうことがベストの治療戦略であると考えています。
私の目指す優秀な医師の理想像とは、常に忙しそうにバタバタしているようなものではなく、一見物静かに診察は進んでいき、何も起こっていないように見えますが、問題点を早めに見つけ、適切に対処した結果なにもする必要がないというものです。
古代中国に伝説的な名医がいた。王様が「お前には医者の兄が2人いるが、誰が一番かね?」と尋ねた。それに答えて「長兄は兆候の現れぬうちに病根を取り除くので名前は家の外には知られていない。次兄は兆候わずかのうちに治すので一地方でしか知られていない。私は手術や投薬で派手に治療するので名医といわれるのです。」と答えたという。
私の好きな寓話です。私の目指す名医について端的に表現されています。私もこういう本物の名医(もちろん長兄のような)になれるよう日々勉強を続けています。
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